トランセンド（2006年生、母シネマスコープ）

トランセンド（2006年3月9日）は、日本の競走馬、種牡馬。馬名の意味は「超越する」。2011年にJRA賞最優秀ダートホースを受賞した。毛色は鹿毛。種牡馬のワイルドラッシュ（当時12歳）と交配したシネマスコープが14歳のときに産んだ6番仔が本馬である。産地は北海道新冠郡新冠町、生産者は（株）ノースヒルズ。戦績は、中央平地18戦10勝2着2回、地方4戦0勝2着2回、海外2戦0勝。2010年、2011年とジャパンカップダート(G1)を連覇した他、2011年のフェブラリーステークス(G1)に勝利するなど、G1級競走4勝を含む重賞5勝を挙げた。

経歴

デビュー前

安田隆行厩舎（栗東）へ入厩。

3歳（2009年）

2月14日、デビュー戦は川田将雅騎手を鞍上に据えて、3歳新馬（京都芝1800m 外回り曇/重）に出走。馬体重は508kg。16頭立ての1番人気に推されて11番ゲートからスタート。少し緩いペースでレースが進む中、終始2番手を追走。直線では素晴らしい伸びを見せたが、勝ったアドマイヤアゲインにねじ伏せられて3/4馬身差の2着に敗北した。

4月11日、中7週で迎えた2戦目は、安藤勝己騎手を鞍上に迎えて、3歳未勝利（阪神ダート1800m 晴/良）に出走。ダート戦への出走は初となった。12頭立ての2番人気に推されて1番ゲートからスタート。若干遅いペースでレースが進む中、2番手を追走し、4コーナーは先頭で通過。直線では異次元の末脚を弾けさせて先頭を奪い、最後は2着のレッドサーパスに1馬身3/4の差をつけて初白星を挙げた。

4月25日、中1週で迎えた3戦目は、3歳500万下（京都ダート1800m 雨/不良）に出走。鞍上は2戦連続で安藤勝己騎手（1戦1勝）。14頭立ての1番人気に推されて2番ゲートからスタート。端に立つ形となり、極端なスローペースで馬群を牽引。先頭のまま1馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線では次元の違う末脚を炸裂させて突き抜け、最後は2着のスマートパルスに7馬身の差をつけて単勝一倍台の期待に応えた。

5月9日、中1週で迎えた4戦目は、3歳G2の京都新聞杯（京都芝2200m 外回り晴/良）に出走。重賞競走への出走は初となった。鞍上は3戦連続で安藤勝己騎手（2戦2勝）。16頭立ての5番人気で12番ゲートからスタート。落ち着いたペースでレースが進む中、終始2番手を追走。最後は脚勢が衰えて9着に敗れた。

7月26日、約2か月半の間隔を開けて迎えた5戦目は、内田博幸騎手を鞍上に迎えて、3歳以上1000万下の麒麟山特別（新潟ダート1800m 曇/稍重）に出走。長時間の輸送競馬は初となった。14頭立ての1番人気に推されて11番ゲートからスタート。ややハイペースでレースが進む中、終始2番手を追走。直線に入ると、前で粘るクリストフォルスを次元の違う末脚で交わし去り、最後は8馬身の差をつけて先頭ゴールを果たした。

8月23日、中3週で迎えた6戦目は、松岡正海騎手を鞍上に迎えて、3歳重賞のレパードステークス（新潟ダート1800m 晴/良）に出走。14頭立ての1番人気に推されて10番ゲートからスタート。緩みのないペースでレースが進む中、終始2番手を追走。直線では豪脚を爆発させてあっさりと抜け出し、最後は2着のスーニに3馬身の差をつけて重賞ウィナーの称号を奪取した。

9月21日、中3週で迎えた7戦目は、G3のエルムステークス（新潟ダート1800m 晴/良）に出走。鞍上は内田博幸騎手（1戦1勝）。14頭立ての圧倒的1番人気に推されて15番ゲートからスタート。やや遅いペースでレースが進む中、3番手を追走し、4コーナーは、馬場の外目を通りながら2番手で通過。直線ではあとひと踏ん張りが利かず、4着に終わった。

11月7日、中6週で迎えた8戦目は、G3の武蔵野ステークス（東京ダート1600m 晴/良）に出走。鞍上は松岡正海騎手（1戦1勝）。16頭立ての3番人気に推されて15番ゲートからスタート。平均ペースでレースが進む中、馬場の外目を回って終始9番手を追走。直線では今一つ伸び切れず6着に敗れた。

4歳（2010年）

2月13日、約3か月半の休み明けで迎えた9戦目は、ハンデ戦でオープンのアルデバランステークス（京都ダート1900m 晴/重）に出走。鞍上は安藤勝己騎手（3戦2勝）。16頭立ての2番人気に推されて8番ゲートからスタート。ミドルペースでレースが進む中、3番手を追走し、4コーナーは2番手で通過。直線に入ると、前で粘るフサイチセブンを圧倒的な末脚で交わし去り、最後は1馬身の差をつけて先頭ゴールを果たした。

4月25日、中9週で迎えた10戦目は、G3のアンタレスステークス（京都ダート1800m 晴/良）に出走。鞍上は2戦連続で安藤勝己騎手（4戦3勝）。15頭立ての圧倒的1番人気に推されて12番ゲートからスタート。緩やかなペースでレースが進む中、4番手を追走し、4コーナーは3番手で通過。直線では末脚がパッとせず8着に敗れた。

5月23日、中3週で迎えた11戦目は、藤田伸二騎手を鞍上に迎えて、G2の東海ステークス（京都ダート1900m 雨/不良）に出走。15頭立ての1番人気に推されて6番ゲートからスタート。端に立つ恰好となり、ユッタリとしたペースで集団を牽引。先頭のまま1馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線では逸出した伸び脚で猛進したが、シルクメビウスにクビ差交わされて2着に甘んじた。

9月23日、約4か月の休み明けで迎えた12戦目は、Jpn2の日本テレビ盃（船橋ダート1800m 雨/稍重）に出走。鞍上は2戦連続で藤田伸二騎手（1戦0勝）。14頭立ての2番人気に推されて7番ゲートからスタート。果敢に端をきり、若干緩いペースで一団を引っ張る。先頭のまま1馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線では矢のような伸びを見せたが、フリオーソに交わされて2馬身半差の2着に敗北した。

11月7日、中5週で迎えた13戦目は、G3のみやこステークス（京都ダート1800m 曇/良）に出走。鞍上は3戦連続で藤田伸二騎手（2戦0勝）。16頭立ての2番人気に推されて2番ゲートからスタート。先手を奪う恰好となり、後続との差を2馬身以上確保して、少し緩いペースで集団を先導。先頭のまま1馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線では豪快に終いの脚を伸ばして、最後は2着のキングスエンブレムに1馬身1/4の差をつけて2つ目の重賞タイトルをゲットした。

12月5日、中3週で迎えた14戦目は、G1のジャパンカップダート（阪神ダート1800m 晴/稍重）に出走。G1級競走への出走は初となった。鞍上は4戦連続で藤田伸二騎手（3戦1勝）。16頭立ての1番人気に推されて3番ゲートからスタート。敢然とにハナを切り、平均的なペースで集団を引っ張る。先頭のまま1馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線では渾身の力で末脚を持続させて、最後は2着のグロリアスノアをクビ差振り切ってG1初挑戦初制覇を達成した。

5歳（2011年）

2月20日、約2か月半の間隔を開けて迎えた15戦目は、G1のフェブラリーステークス（東京ダート1600m 曇/良）に出走。鞍上は5戦連続で藤田伸二騎手（4戦2勝）。16頭立ての1番人気に推されて12番ゲートからスタート。逃げる形となり、若干遅いペースでレースを牽引。先頭のまま半馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線ではグングンと末脚を伸ばして、最後は2着のフリオーソに1馬身半の差をつけてダートマイル王の座を勝ち取った。

3月26日、G1のドバイワールドカップ（アラブ首長国連邦・メイダンダート2000m）に出走。鞍上は6戦連続で藤田伸二騎手（5戦3勝）。14頭立ての12番人気で9番ゲートからスタート。最後は、勝ったヴィクトワールピサから半馬身差の2着となった。

10月10日、約6か月半の休み明けで迎えた17戦目は、G1のマイルチャンピオンシップ南部杯（東京ダート1600m 晴/良）に出走。鞍上は7戦連続で藤田伸二騎手（6戦3勝）。15頭立ての圧倒的1番人気に推されて11番ゲートからスタート。タフなペースでレースが進む中、終始2番手を追走。直線では一完歩ずつ着実に末脚を伸ばして先頭をうかがい、最後は2着のダノンカモンをアタマ差振り切って3つ目のG1タイトルを掴み取った。

11月3日、中2週で迎えた18戦目は、Jpn1のJBCクラシック（大井ダート2000m 曇/良）に出走。鞍上は8戦連続で藤田伸二騎手（7戦4勝）。12頭立ての2番人気に推されて9番ゲートからスタート。少し遅いペースでレースが進む中、終始2番手を追走。直線では持ち前のタフネスでしぶとく脚を伸ばしたが、抜け出したスマートファルコンを捕まえ切れず、1馬身差の2着に敗北した。

12月4日、中3週で迎えた19戦目は、G1のジャパンカップダート（阪神ダート1800m 晴/良）に出走。鞍上は9戦連続で藤田伸二騎手（8戦4勝）。16頭立ての1番人気に推されて大外16番ゲートからスタート。先頭に立つ格好となり、ミドルペースでレースを牽引。先頭のまま半馬身のリードを保って4コーナーを通過。直線では、そのまま強靭な粘り腰で持ち堪えて、最後は2着のワンダーアキュートに2馬身の差をつけて4つ目のG1タイトルをつかんだ。

6歳（2012年）

2月19日、約2か月半の間隔を開けて迎えた20戦目は、G1のフェブラリーステークス（東京ダート1600m 晴/良）に出走。鞍上は10戦連続で藤田伸二騎手（9戦5勝）。16頭立ての圧倒的1番人気に推されて15番ゲートからスタート。若干緩いペースでレースが進む中、4番手を追走し、4コーナーは3番手で通過。直線では末脚がパッとせず7着に敗れた。

3月31日、G1のドバイワールドカップ（アラブ首長国連邦・メイダンダート2000m）に出走。鞍上は11戦連続で藤田伸二騎手（10戦5勝）。13頭立ての9番人気で10番ゲートからスタート。13着に終わった。

11月5日、約7か月半の休養明けで迎えた22戦目は、Jpn1のJBCクラシック（川崎ダート2100m 曇/良）に出走。鞍上は12戦連続で藤田伸二騎手（11戦5勝）。13頭立ての1番人気に推されて大外13番ゲートからスタート。やや遅いペースでレースが進む中、2番手を追走し、4コーナーは先頭で通過。直線ではもうひと伸びが足りず、3着に終わった。

12月2日、中3週で迎えた23戦目は、G1のジャパンカップダート（阪神ダート1800m 曇/良）に出走。鞍上は13戦連続で藤田伸二騎手（12戦5勝）。16頭立ての5番人気で7番ゲートからスタート。若干遅いペースでレースが進む中、2番手を追走していたが、途中でズルズルとポジションが下がり、4コーナーを9番手で通過。最後は脚が止まってしまい16着に敗れた。

12月29日、中3週で迎えた24戦目は、G1の東京大賞典（大井ダート2000m 曇/重）に出走。鞍上は14戦連続で藤田伸二騎手（13戦5勝）。12頭立ての6番人気で9番ゲートからスタート。少し緩いペースでレースが進む中、9番手を追走していたが、道中でジワリジワリとポジションを押し上げて4コーナーを7番手で通過。直線ではジリジリとしか伸びず7着に敗れた。